標準化へこの指止まれ IoT「共通言語」づくり急 2015_10_23_日経産業新聞_転載

標準化へこの指止まれ IoT「共通言語」づくり急
GEやインテル、米国勢攻勢 日本、出遅れ危機感

2015/10/23付
日経産業新聞_ 転載「この指止まれ!」。あらゆるモノがインター‘ネットでつながるIoTで「標準化」に向けた仲間作りが広がっている。IoTで機械や工場が「会話」するには共通の言葉やルールが必要になる。
それが標準化問題だ。今のIoTは言葉やルールがバラバラで、異なるメーカーの機器がつながらない。どんな産業機械も自由に会話できれば世界は一気に広がる。

来年にも指針

5日、スイス・ジュネーブに拠点を置く国債標準化団体、国際電気標準会議(IEC)が白書を公開した。タイトルは「未来の工場」。独フラウンホーファー研究所ト協力してまとめ、日本からは三菱電機や日立製作所も参加した。
「各国のコンセプトを統合し、センサーや機器をつなぐ通信手順や情報システムを標準化するのが望ましい」。IECは「スマート製造」の枠組みを検討しており、2016年に指針を決める。
日本では経済産業省が主導するロボット革命イニシアティブ協議会が7月にワーキンググループを立ち上げた。トヨタ自動車や日立製作所、三菱重工トいった日本代表する120社・個人が参加する。
ただ20日に開いた第3回会合で議論されたのは「製造業にどんな変革が起きるのか」や「どのような法律やセキュリティーを整備すべきか」。具体的な標準化の議論は進んでいない。
ドイツでは産学官が推進する「インダストリー4・0」が中小企業の競争力を底上げ争力を底上げするため、中小も使える標準化を目指す。だが独大手メーカーの担当者は「国が絡むと動きが遅くなる。すべての枠組みが決まるまで待っていられない」と危機感を募らせる。急速に拡大するIoTは国の産業施策に歩調を合わせてくれない。日欧
はISOやIECと言った「デジュール標準」を決めるのは得意だが、新しい市場で広く受け入れられる事実上の「デファクト標準」をつくるのは苦手だ。これを得意とするのが、米国勢だ。
9月、米国発の「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)」がスペイン・バルセロナを訪れ、IoTの国際会議を初めて開いた。欧州でも仲間を集めるためだ。バルセロナは通信関連の国際見本市が毎冬聞かれ、機器間通信(M2M)の議論の場にふさわしい。
「IoTはすでに起きている現実。どこの国が強いという話に意味はない」。「オープンソlスソフトの良さを公共機関や消費者に理解してもらうことが肝要だ」ゼネラル・エレクトリック(GE)やインテル、ボッシュなど欧米の主力メンバーの幹部が熱い議論を交わした。他の顔ぶ
れも多彩だ。米石油大手シエプロンや喪送電大手ナショナル・グリッド、独機械大手トルンプ……。
日本のIT大手幹部は「最先端の話を聞き、日本の本社の意識の遅れを痛感した」と話す。
業種・国問わず

キーワードは「テストベッド」。もともと実際の環境に近い状態で試験することを意味するIT用語だ。IoTのビジネスモデルを作り、業種や国を間わず「この指止まれ!」方式で試験し、成果をメンバーで共有する。
IICは「我々は標準化団体ではない。会員企業の取り組みを広めるのが目的だ」と強調する。そうした姿勢に共感する日独の企業は多い。
富士通はパソコンを生産する島根富士通(島根県出雲市)の取り組みがテストベッドに認められた。独ボッシュは米シスコシステムズやインドのテック・マヒンドラと組み、センサー内蔵の電動工具で航空機工場の作業を見える化ずるテストベッドを始めた。GEは産業機器を遠隅監視や予防保全し、データ分析などもパックにした「pred--x(プリデックス)」を多くの企業に利用してもらうことでデファクトを狙う。
日本でもこの指止まれ!方式が出て来た。「『短編集』をつくって、みんなに好きなものを使ってもらう」。6月に始動した産学主体のインダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ(IVI)で理事長を務める法政大学の西岡靖之教授は話す。
短編集とは企業のIoT活用の事例集のことだ。「消費者向けマスカスタマイゼーション(個別大量生産)」「現物データによる生産ラインの動的管理」など、まず19のシナリオを作った。
製造業など約100社が参加し、シナリオを複数の場面に分解し、誰がどんなモノや情報を扱うか明確にする。西岡教授は「企業もシステムを作りやすくなる」と説明する。
来年1月までに仕様を決め、同3月にシステムを試験構築するスピード感だ。全体の枠組み作りに時間をかけず、使えるものを多数そろえる。その中から企業に選んでもらう。
パソコンやスマートフォンなど急速に立ち上がった市場でデファクトになったのは、結局使いやすく、実際にみんなが使ったものだ。個別グループの動きがいずれ大きなうねりとなり「製造革新4・0」を引き起こす。

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